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シグナルゲイトで浮上した、ジェフリー・ゴールドバーグという男

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March 28, 2025 14:08 jst
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シグナルゲイトで一躍「時の人」となったジェフリー・ゴールドバーグ。

どうやら本当に「偶然にも」ヘグセス国防長官やヴァンス副大統領がやり取りするSignalのチャットグループに招待されてしまったようだ。

それがきっかけになりゴールドバーグは、あっという間にペンタゴン・ペーパーズやスノーデン事件のような機密情報の扱いに関する告発者になってしまった。

このシグナルゲイトのポイントは、フーシ派への攻撃計画という機密情報の内容ではなく、そんな重要情報を、不用意にもチャットでやり取りしていた、というその情報管理のいい加減さぶりにある。さすがは機密情報を悪びれずにマー・ア・ラゴに持ち出した大統領のスタッフということか。

だが、ここで触れたいのは彼らではなく、ジェフリー・ゴールドバーグのほう。

彼について日本では、アメリカの報道での紹介のままただ「ライター」と紹介されているものが多いけれど、彼はただのライターではない。

伝統あるThe Atlantic Magazineの編集長。

自分で記事も書ける編集者、こういう人は日本ではすっかり少なくなったけれど、アメリカにはまだ存在する。

ゴールドバーグについてはこのことは強調しておきたい。ただのライターではない。経験あるエディトリアルの技能の持ち主で、そこから現在の社会状況や政治状況について俯瞰のセンスもある言論肢の編集者、編集長であること。

だからだろうが、彼は、実は、モデレータとしても秀逸で、毎週PBSでWashington Week with The Atlanticの司会を務めている。

出演する報道各社の記者や編集者、作家たちを如才なくさばく。並の司会者だと、テーマごとに出演者にその人の得意分野の話をさせて、それがぶつ切りのまま繋げられるだけなのだが、ゴールドバーグの場合は、その話題の転換やつなぎのテクニックが実に上手く、その場で、出演者の間での議論が白熱し、ただの報道情報以上のインサイトが生じる。

話題の切り替え方もとても上手い。

それは常に複数の視点を頭に入れながら、状況に応じてそれを切り替えているからなのだろう。

そんなジャーナリストとしてもエディターとしたも有能な彼が、本当に偶然にシグナルゲイトに巻き込まれてしまって、おつかれの姿が報道されると、ちょっと大丈夫?と思ってしまう。

案の定、ホワイトハウスからは、ゴールドバーグにハッキングされたとか、責任をなすりつけるような発言がなされている。

いや、問題は、ハッキング可能な商業アプリで、攻撃計画という機密情報を交換しているヘグセスやヴァンスたちの情報管理意識のほうでしょ?といいたいのだが。

このままゴールドバーグには何も起こらずにいてくれるといいのだが。

だが、今のトランプ政権だと、この機に乗じてうるさいジャーナリストをひとり、見せしめにしょっぴいてやろう、と動き出してもおかしくない。

トランプの息のかかったFBIや司法省の出番になりはしないか、心配。

実際、そのことを案じている人達も増えている。

本当にアメリカはただの独裁国家に向かいつつあって怖いのだが、アメリカ人は本当にこれでいいと思っているのか? そろそろそれなりの反抗が生じてもおかしくはないタイミングなのだが。

それとも、本当に民主党はもう、ただのリーダー不在の役人集団のようになってしまったのか?

ぼちぼち第一の見極めどころのタイミングだと思うのだが。どうなのだろう?