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カンザスシティに続いて、Googleがテキサス州オースティンでも、光ファイバベースのブロードバンドサービスであるGoogle Fiberを提供すると発表した。
Google to Offer Ultrafast Internet Service in Austin
【Wall Street Journal: April 9, 2013】
先週中頃から、翌週にGoogleとオースティンが何か計画を公表するらしい、という噂は流れていて、Googleの施設が作られるか、ブロードバンドを提供するかだろう、と言われていた。結局、後者のブロードバンドサービスを提供することになった。
上の記事では2014年半ばまで(というのだから、おおよそ一年後以内)にスタートさせたいということだ。面白いのは、Googleの発表と同時に、通信会社最大手のAT&Tも同種のサービスを行うと発表したことだ(もっともGoogleと同じ条件をオースティン市が与えてくれることを条件にしている)。
アメリカの固定インターネット接続サービスは長らくケーブルと通信大手の二者による複占(duopoly)が当たり前になっており、実質的に競争が滅殺されているのでは?という意見が多かった(だからこそ、無線インターネット、Wi-Fiに期待が集まっていた)。その意味で、Googleの発表はオースティンのインターネット市場に刺激を与えたことになる。市政としても狙ったとおり、ということなのだろう。
当のブロードバンドサービスが導入されるオースティンは、80万人の人口を抱えるテキサス州きっての学園都市でり、かつハイテク都市だ。州立のテキサス大学システムの中核校であるテキサス大学オースティン校(UTA)の所在地であり、同時に、近年IT系のインディーズ的祭典となって有名なSXSWが開催される都市でもある。
したがって、Googleがテキサスで拠点を築く街としては最適な街といえる。日常的にUTAの学生や研究者にブロードバンドを利用してもらうことで実験的な試みも行えるだろうし、SXSWのようなイベントでは会場設営や新規サービスの紹介、有望なスタータップやアプリを見つけるにも何かと便利になるだろう。だからこそ、Googleがオースティンに研究所などの拠点を作るのでは?という噂が立っていたのだった。
ところで、ここのところ、シリコンバレーの企業がテキサスに出向くことが多いが、一つの理由は宇宙開発系のスタータップが実験や試験を行うに当たって広大な土地を持つテキサスは使い勝手がいいから、ということがある。もしかしたら、この先、宇宙開発に関心をもつGoogleもそのような関係をテキサス州の都市との間で作っていくのかもしれない。