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アメリカの大手ジャーナリズム機関は、政治欄の特集を「大統領選」から「オバマ政権移行」に変えてきた。目下のところ、話題は、主要閣僚の選択に関わっている。最も注目を集めるのが、経済運営の要の財務省(Department of Finance)、戦争遂行の中核の国防総省(Department of Defense)、外交を司る国務省(Department of State)。その人事をめぐって、メディアがインサイダー情報を中心に予想を書き立てる一方、各種団体(政治家を支援する利益団体や公益団体など)がひいきにする政治家をぜひキャビネット・メンバーに、と推薦、というかチーム・オバマにプレッシャーをかける動きが目立つようになってきた。
日本でいう「政局見通し」のようなものだが、日本と違うのは、外部からの推薦もメディアを通じて表明されること。また、アメリカの場合、政党の結束は強くない。地方政治レベルでは、政党が中核的役割を担うが、全国規模の知名度や影響力を必要とする、大統領や上院となると、政治家一人一人のネットワークの方が重要になる。だから、派閥、とはニュアンスが異なる。オバマを支援した人々の中から側近が選ばれ、いくつかのポジションには、超党派的姿勢を示すために、対抗政党からの登用もありえる。
アメリカの場合、猟官制を強いているので、政府高官は総入れ替えが原則なのだが、アメリカが置かれている現状を考えると、何人かの高官は、さしあたっては留任、ということもあるようだ(特に国防総省関係)。要するに、デモクラットの大統領が、GOPの高官を部下にしながら、政権運営を行う、ということ。いまは、そうした人選の真っ最中、ということになる。