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表題の通り、ディズニーがルーカスフィルムを買収することを発表した。
Disney Deal to Spur Sibling Rivalries
【Wall Street Journal: November 1, 2012】
CGアニメーションのピクサーや、バットマンやアベンジャーズなどのアメコミを持つマーベルの買収に続いて、スターウォーズを擁するルーカスフィルムを買収することで、ディズニーは、アメリカで知名度の高いポピュラーコンテントを抱える映画企業になる。
ディズニーというと、会社設立のきっかけになったミッキーマウスの他に、白雪姫や人魚姫などが有名だが、容易に気がつくように、こうした童話の原作は広く一般に伝承したものを採用している。ディズニーは基本的に人びとが既に慣れ親しんだ原作を映画化することで、ファミリー向けのエンタテインメントを作り上げてきた。そして、その原作の多くはパブリックドメインに属するものだった。パブリックドメインにある原作は、改変が容易であるので、たとえば、最近であれば、赤ずきんちゃんをゴシック風にアレンジした映画なども作られる。
しかし、童話のようにパブリックドメインにある物語と違って、ピクサー、マーベル、ルーカスフィルムが抱えるコンテントは、20世紀後半の、コピーライトが確立されたところで出来上がったものであり、その利用にあたってはライセンスの取得が必要になる。今回のルーカスフィルムの獲得も、1970年代に登場し、今ではアメリカ文化の「レジェンド」の一つになったスターウォーズの利用権を確保することが目的となる。記事によると、スターウォーズは、今後、改めて三部作が制作され、その第一作が2015年に公開されるという。その流れを見込んでの買収のようだ。
スターウォーズ通の間では有名な話だが、製作者で監督のジョージ・ルーカスは、もともとスターウォーズは9作を考えていた。そのうち、既に6作(三部作が二回)が制作されており、残りの3作が制作されるということになる。ようやく、ルーカスの夢が叶うことになる。ただ、ここで少しばかり気になるのは、スターウォーズの利用権がディズニーに移ることで、今までのように、ファンがスターウォーズをいろいろとアレンジして楽しむことが引き続きできるのかどうか、というところだ。
ルーカスは、ファンがスターウォーズについてウェブ上でコミュニケートすることには比較的寛容だった。これは、スターウォーズの世界を作り上げたのがルーカスだったから、ということもあるのだろう。広く人びとに知れ渡った作品は、作者だけでなくファンも含めての共有財産だという見方もあったのだと思う。そのような、スターウォーズのファンダムの在り方が、ディズニーにライセンスが移転後も継続されるのかどうか。ディズニーの過去の振る舞いからすると、なかなか厳しいようにも思えるが、果たしてどうなるのか。気になるところだ。