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韓国のSamsungが、Smartphone市場でiPhoneやAndroid-phoneに対抗すべく、オリジナルのオープンプラットフォームである“Bada”を発表。
Samsung to Develop Its Own Smart-Phone Software
【Wall Street Journal: November 11, 2009】
Badaとは、韓国語で“Ocean=大洋”の意味だそうだ。
既にサイトも用意されている。
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SamsungはNokiaに次ぐ世界第二位の携帯電話メーカー(シェアは世界市場の二割)だが、Nokia同様、Smartphone市場では、iPhoneやBrackberryなどの台頭を許してきた。
今回のBadaの発表は、Smartphone市場、ならびに、それに関連するapp市場でこれ以上後塵を拝さぬよう、楔を打つためのもの。
もちろん、AppleやGoogleと違って、Samsungの場合は、具体的に端末を製造し販売するのがビジネスの根幹であるため、基本は、multi-platform路線を貫くようだ。
Samsung製のSmartphoneはWindows Mobileを採用していたのだが、iPhoneやAndroid-phoneの存在感の増大を危惧し、オリジナルのプラットフォームを用意することを決断したようだ。
基本的にはオープンプラットフォームで、上のBadaのサイトでは、app開発企業の参加を呼びかけている。その一方で、Bada対応端末の製造を他のメーカーにライセンスするかどうかは、まだ明らかにしていないようだ。
Nokia 同様、どのように巻き返してくるのか、注目したいところ。
既に、Samsungは、電機メーカーとして既に十分世界で存在感を示していて、上のBada発表と同じ日に次のように、その規模の大きさを伝える記事もでているほど。
Samsung's Swelling Size Brings New Challenges
【Wall Street Journal: November 11, 2009】
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ところで、このSamsungの動きを伝える記事を見つけたとき、気になったことがある。
それは、Samsungの動きについて、きちんとWall Street Journalで取り上げられている、という事実。そして、その事実を英語による報道で知ったという事実。
対して、日本の家電メーカーに関する記事は、WSJではほとんど見かけない。最近見かけたのは、Sonyのe-book readerの話と、任天堂のDSがiPhoneに怖れ気味だという話ぐらい。
アメリカの新聞だからアメリカに関わりのあることが優先的に報道されるのは当たり前で、e-book readerもiPhoneもともにアメリカで旬の商品だから、といって納得することもできなくはない。
けれども、Smartphone市場やapps市場の動きが、ある意味、2000年初頭の日本の携帯電話市場の成長を後追いしているようにも見える状況から考えると、NokiaやSamsungばかりが注目され、この話に、一切、日本のメーカーのことが取り上げられない、というのは、さすがにどうなのだろうと思う。
「ガラパゴス化」といって自己卑下している場合ではないのではないかと。
ガラパゴス化というのは、外界とは隔絶された環境で独自の進化と生態系を維持してきたことを指している。
しかし、それも、日本市場が日本市場だけでも十分再生産可能、という大前提があってこその話。
だが、この大前提自体が崩れているのが今の日本のはず。
だから、このままでいけば、ガラパゴスどころか、絶滅危惧種として認定されてしまうのではないか。
そんなことは妄想に過ぎないといわれそうだが、個人的には、留学時Samsungの躍進ぶりをNYで目の当たりにした経験がある。それから5年後の状況は、当時でも予感することができた(私自身、「日本はガラパゴスだ」と当時から感じていた)。ある意味、予想どおりにことが進んでいて、自分の感覚に自信を持つ一方で、その分、懸念が増してしまう。
来年は、日本の情報通信政策が再考される予定の年だが、上述の点は、真面目に考え直さないと、ホントにヤバイのではないか、と感じる。
繰り返しになるが、ガラパゴス化といって自己卑下している場合ではないのだ。