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junichi ikeda

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Bi-partisanへの駆け引き(続報)

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NYTの報道によると、結局、共和党のJudd Gregg上院議員が商務長官(Secretary of Commerce)の候補として公表された。他の閣僚(Cabinet members)同様、上院(Senate)での承認を経て、実際に就任できるかどうかが確定する。

Gregg議員が辞任後の補填議員についても、結局、GOPからBonnie Newman氏がニューハンプシャー知事から指名された。補填議員がGOPからなされない限り、商務長官の職はうけない、とGregg氏が公表したのを受けた結果。

ということで、Senateにおけるデモクラットの安定多数議席獲得(=100議席中の60議席)は獲得できず終いだった。

結果的には、GOPの中でも「穏健(=moderate)」と目される、東部出身の議員をCabinet memberに迎えることでGOP内のmoderateな人々の復権に力を貸すことができた、ということなのかもしれない。

というのも、大統領選中に、GOPのコリン・パウエルがオバマ支持を表明したときに語ったように、ブッシュ(子)政権の間に、GOPの方向性が、文化的な観点(≒宗教的価値の観点)から、保守的な方向に激しく触れていて、パウエルや今回のGreggのように、主に財政均衡の観点からGOPに集った人々が周縁化される事態が進んでいたからだ。

今でこそ、GOP=Republican Party=Conservative, Democrat=Liberal, という色分けになっているが、言葉の定義からしても、republican(共和的)とconservative(保守)、また、democrat(民主的)とliberal(革新)、というのが、それぞれ自動的にイコールになるわけではない。上でいう「穏健なGOP」の人々は、いわば、republicanでliberalな傾向をもった人々、といえる。こういうGOPの人たちは、昔は、Rocketfellor RepublicanとかNixoniteといわれていた。ネルソン・ロックフェラー元副大統領、ニクソン大統領の政治姿勢は、放漫財政はいけないが、政府が市民を救うために市場介入するのはおかしいことではない、というもので、決して市場主義万歳という人たちではなかったからだ。

アメリカが今抱えている経済問題について「スマートに」「プラグマティックに」対処しようとするオバマからすれば、財政均衡志向のGOPを意思決定の過程に組み込むことで、積極的な財政出動も辞さずと主張するデモクラットの中の極度にリベラル志向の強い人々との間で、ある種のバランスを確保する。こうしたことも企図されているのだと思う。