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ワンストップの飽和

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Amazon Starts Web Site To Sell Shoes, Handbags

【January 4, 2007: Wall Street Journal】

アマゾンが靴・バッグなどの商品を専門に扱うショップサイトを立ち上げる。
Endless.comという名で、ブランドとしても別モノに。

*****
ワンストップで何もかも扱う、という考えで取り扱う品目の拡大を行ってきたアマゾンだが、その考えを見直し始めている。

Zappo.comのような専業リテーラーがネット上でも増えてきたため、何でもかんでも、アマゾンブランドとして売ることに、消費者側の認知限界が生じてきている、ということのようだ。

いわゆるリアル店舗では、アウトレットやらカテゴリーキラーやらと、流通業は常に業態変化を遂げているわけだが、その流れがネットにも押し寄せてきているということ。

大きく捉えれば、ネットをプラットフォームとして利用する環境が随分整ってきてリアル側の商流をもつ企業でもネットで販売を行うことの障壁が下がったという供給者側の動きと、検索エンジンを使いながら自分の所望するモノを直接探索することができるようになった消費者側の動きの、両方が重なり合った動きといえる。

いずれにしても、ネットの活動がネットの中で完結するような時代は終わりを告げているわけで、リアルかバーチャルかは問わず、人々の頭の中にある記憶資源、端的に言えば、イメージや言葉が重要になる。

ということで、ブランド志向のマーケティングが再燃しそうに思う。

*****

追記的になるが、アマゾン自身は、自社のECインフラを他社に貸与することで、一般向けのECプラットフォーム会社になる方向も昨年発表している。

そこから察するに、今後はECインフラの部分と(リアル側の店舗デザインに相当する)集客サイトの部分とに二分化していく傾向にあるといえる。上記のEndlessもその流れに位置づけた方がわかりやすい。

(これは、いわゆるポータルサイトが、検索部分とメディア部分とに二分していく動きとも呼応したものと思う。)

集客サイトの側は徹底して、顧客囲い込みのためにメディア的要素を増していく可能性が高い。そして、日本的にこの状況を考えると、従来雑誌社というか、ライフスタイル系の雑誌(特に女性向け)が担ってきた、顧客(ならびに顧客予備軍)とメーカーの媒介役、という役割が、ネットの側に動くように思える。これは一アイデアだが、その際、たとえば、SNS的機能といわゆるカリスマバイヤー的なアイコン、プチカリスマを組み合わせることで、雑誌が担ってきたコミュニティ・アイコンの役割はかなりの程度達成できると思う。

こうした動きはアメリカのように、ショップが社会階層の高低で明確に線が引かれるところでは生じにくいだろうから、アメリカのことを見ていても多分つかめない。日本のように、社会全域が相互に同程度の豊かさを享受できる人々からなると想像できて、かつ、都市的な匿名的な消費行動がマスで展開できるようなところでこそ、生じる動きのように思う。

ただし、これは同時に、日本のコミュニティは消費を通じてまとめあげられる、という見方を強化するものでもあるのだが。(この嘆息のニュアンスは、別の機会に言語化を試みたいと思う)。