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Time Warner Expects Offering AOL Free Will Be Costly
【July 11, 2006: Wall Street Journal】
今更ながらではあるようだが、AOLをISPからブロードバンドポータルへと転身させようという動きが出始めた、とのこと。
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ただし、Time Warner内の試算では、2009年までにAOLの契約料収入はおよそ半減する見通しだという。現在、AOLの契約料はTWグループの営業収入のおおよそ2割を占めているというから、相当大きな賭となる。契約料の損失は、広告料収入でまかなうつもりらしい。
疑問に思うのは、BBの広告モデルが、そのままテレビ型のモデルを踏襲できるのかどうか、ということ。
この点は微妙で、一方でGoogleに代表されるrelevancy重視の2.0型のモデルが定着しつつある一方、インターネットの大衆化で成功しているのは、実はマスメディア型のYahoo! Japanや、最近成長著しいマードック傘下のMySpaceだったりする。
AOLは検索エンジンに代表されるマッチング技術を持っているわけではないから、実質的には後者のタイプを目指すことになるのだろうが、その場合、既存のテレビビジネスやケーブルビジネスとどう折り合いをつけていくかは知恵を必要とするところ。もっとも、TWは、地上波ネットワークはほぼパートナーに過ぎないからテレビについては何とかなるのかもしれないが、ケーブルはどうなのだろう。
ということで、改めて、TWのスプリット・オフの話が再燃しそうではある。
今回の計画は、ダイアルアップユーザーを何とかBBユーザーに移行させよう(させないと、AOLは、BBとダイヤルアップ向けサービスの両方を手当てしなくてはならない)というものでもある。この既にあるユーザーを次のステージのサービスに移行させる作業は、アメリカの場合は結構大変。日本のように(たとえば携帯のように)、市場の商品が新しいものしかない、つまり、バージョンアップされたものしかなくなる、ということが、通常なかなかないので。裏返すと、日本の場合は、ハードウェアまでもはやバージョンアップ型の、焼き畑型のビジネスに突入しているとも言えるが、それはまた別の機会に考察してみたい。