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September 30, 2016
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junichi ikeda

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Yahoo!の後を追うTwitter

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随分前から噂されていたことではあるが、Twitterの買収話がだいぶ信憑性を帯びてきたようだ。

Twitter Is Said to Be Discussing a Possible Takeover
【New York Times: September 23, 2016】

Disney, Microsoft Among Possible Twitter Suitors: Reports
【New York Times: September 26, 2016】

9月下旬になってからGoogleやSalesforece、Disney、そしてMicrosoftの名も、可能性のある買収者としてあがってきた。

買収の可能性は、ジャック・ドーシーがCEOとして戻ったあたりからすでに噂されていた。上場の前後で、Twitterの性格が随分と変わり、創業者の一人であるとはいえ、ドーシーの裁量だけではターンアラウンドは難しいといわれていた。

というのも、Twitterがすっかり、個々のユーザーにカスタマイズされたバナーのようになってしまっていたからだ。リロードするたびに、新たな広告ツイートが現れることは日常になってしまったし、そもそも宣伝用アカウントばかりが増え、その上動画も普通に貼られるようになってしまったため、見た目にも鬱陶しいことこの上ない。

もはやマイクロブログでもなければ、ソーシャルネットワークですらない。ただのプロパガンダマシンへと転じてしまったのが、上場後のTwitterの姿だ。そして、その方向性は、いまだに変わらないように見える。

要するに、あまりにもコマースに軸足を置きすぎた。それゆえ宣伝したい人間と、宣伝そのものに関心のある人間が集まる、極めてニッチな場になり変わってしまった。ちょうどYahoo!が、メディアアグリゲータとしての方向に舵を切ったのと似ているし、となると、行く末はVerizonに買われしまったYahoo!のようになるのか、と想像するのは自然の成り行きだろう。そして、そのような未来像にリアリティが出てきた時点で、少なくともユーザーからは冷めた目で見られても仕方がない。

前にも書いたことはあるが、このあたりの顛末については、上場準備の段階での経営陣の入れ替えの際、テレビを中心に既存のマスメディア経験者を大量に招き入れたことが原因の一つであることは間違いないだろう。テレビやラジオのCM枠を売るようにツイートを売るという発想が、今時の「エンゲージメント」という発想からは随分とずれていたということだろう。

もちろん、エンゲージメントだけでどうにかなるものではないのも確かなので、その分、プラットフォームとして、様々な実業に足がかりをつけておく必要があったのだけど、いわゆるマスメディア出身者にはその経験はないし、むしろ、実業に一切手を付けないことで、不況にも強く相対的に収益性の高いビジネスモデルを維持してきたのが、20世紀後半のマスメディアビジネスだった。

もちろん、それは「メディア」ビジネスとしては正しい判断だが、「プラットフォーム」ビジネスとしては致命的だったということになる。なぜなら、プラットフォームビジネスは、情報化に親和性の高い副業分野を、イノベーションという将来性の下で適宜取り込むことで、疑似的で多少幻想的なコングロマリット的装いを与えることでギリギリ成立していくものだからだ。

ギリギリ、というのは、人びとが寄り付くことで成立する「場」としての性格が強いからで、その場が不快な場になったらユーザーが集まる動機を損ねてしまうためだ。

もちろん、Yahoo!が行ったように、見世物としてのコンテントが、たとえば無料で提供されることもそうした撒き餌の一つにはなる。でもあくまでも一つでしかない。もともとの出発点にあった、マイクロブログ性やソーシャル性について、その部分での発展は、いわば集客のためのコストと割り切ってきちんと「善いこと」の実現に組みすることも可能だったと思うが、しかし、実際には、ユーザーではなく株主や広告主に顔を向けすぎたということなのだろう。

そうした「宣伝板となったTwitter」という外部からの認識は、買収候補の名前にGoogleやMicrosoftに加え、SalesforceやDisneyが上がっているところからも見て取れる。どちらも、サービスやコンテントの売り込みに使えると判断してのことと思われるからだ。

ともあれ、最終的にどこが買い取るのか。その買収先によってTwitterの性格はさらに明確になっていくことだろう。

そして、それとは別に、ジャック・ドーシー神話の見直しも図られるのかもしれない。彼は、スティーブ・ジョブズではなかったと。