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2012年の大統領選の得票結果を見事予測したNate Silverが、今年2014年の中間選挙の見通しを公表した。その内容に民主党、共和党ともに反応を示している。
Silver Speaks. Democrats Despair.
【Salon: March 24, 2014】
FiveThirtyEight Senate Forecast: GOP Is Slight Favorite in Race for Senate Control
【FiveThirtyEight: March 23, 2014】
Silver rの見通しでは、今年の中間選挙では、上院でトスアップ状態、すなわち、接戦が予想され、多数派(51議席以上)を共和党が民主党から奪い返す可能性があるということだ。当然、この内容に共和党はほくそ笑み、民主党は眉をひそめている。
Silverによれば、いわゆる共和党支持州であるレッド・ステイトで長らく選出されてきた民主党上院議員が引退することに加えて、民主党と共和党が拮抗するパープル・ステイトで民主党が有力な候補者を選出できていない、ということが大まかな理由となる。
現在、アメリカの連邦議会は、上院は民主党が多数派(=マジョリティ)、下院は共和党が多数派であり、そのため、重大な法案については、どれだけ議論を重ねても法案そのものが流れてしまうことになり、結果として、政府全体で機能不全を起こしがちだ。アメリカ政府がシャットダウンするという異常事態すら既に経験してしまっている。したがって、Siliverの予想通り、上院も共和党がマジョリティになると、連邦法の法案審議については共和党が掌握することになり、任期が残り二年となるオバマ大統領との間の対立は必至のシナリオとなる。
もっとも、Silverの予測内容も、今回については数値的予測だけでなく、足下の状況からの「推測」も含まれているようなので、大統領選のような状況証拠やデータが多数存在するケースとはまた少しばかり違うのかもしれない。
ともあれ、彼の「予測」自体が、選挙戦という社会事象に対して一つの効果をもたらすようになったことだけはどうやら間違いなさそうだ。つまり、Silverと彼の予測行為そのものが、選挙戦の中に組み込まれてしまったといってよいのだろう。その意味で、彼は「観測者」ではなく「プレイヤー」の一人として当初からカウントされてしまったわけだ。
そのような状況下で、
予言は自己実現するのか、
それとも、予測は不測の事態を避けるためにこそ活用されるのか、
気になるところだ。
データ解析が、大統領選のみならず、上院・下院の選挙にまで応用されるのかどうか。そして、その限りにおいて、Silverの予測が、文字通りの予言となるのかどうか。これは、2014年の中間選挙の見どころの一つだろう。それは、取りも直さず、そのまま2016年の大統領選にも影響する。中間選挙が終わった今年の年末あたりから、2016年の大統領選に向けて候補者が正式に名乗りをあげる。彼らのキャンペーン展開にも影響を与えることだろう。
2008年の大統領選では、ウェブの扱いで、民主党候補が共和党候補を圧倒した。2012年の大統領選では、データ解析の扱いで、民主党候補が共和党候補を圧倒した。2016年の大統領選は、その二回の経験を候補者の選対本部がともに理解し咀嚼したところからスタートする。その見通しを与える上でも、中間選挙とそれをとりまく「予測」の動きは重要な一里塚になることだろう。
プレイヤーに組み込まれたNate Silverは、果たして2012年同様のパフォーマンスを示すことができるのだろうか。それとも、彼に変わる新たな予測人が現れるのか。さらには、予測家業そのものの信頼はどうなるのか。
見どころはたくさんある。