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VerizonがAndroid 2.0を採用したsmartphoneであるDroidを発売。Droidはモトローラ製。
With the Droid, Verizon answers iPhone's call
【Washington Post: November 8, 2009】
A Place to Put Your Apps
【New York Times: November 5, 2009】
VerizonはAT&Tとともにアメリカの通信業界の双璧。いずれも、前進は、かつて全米を一社でカバーしていた旧AT&Tの一部。ともに、旧AT&Tが分割されてできた地域通信会社が合併を繰り返してできた会社。
AT&TがiPhoneによってsmartphone市場を席巻しているが、ようやく対抗馬を出してきた、という感じ。
上のNYTの記事が伝えているように、とはいえ、もはやsmartphoneというのは商品の特性をうまく表してはいない。日本のi-mode同様、アプリケーションが重要な商品特性になっているからだ。NYTの記事では、それを暫定的に“app-phone”と呼んでいる。
経済低迷の中、IT業界を再び浮揚させることを企図してか、最近、アメリカではこの“app”を冠する表現を頻繁に見るようになっている。少し前になるが、BusinessWeekも次のように、“app-economy”という特集をしていた。
Inside the App Economy
【BusinessWeek: October 22, 2009】
総じて、PCのようなopennessが、smartphoneの市場では当たり前になってきていて、AppleやGoogleが準備するプラットフォームを土台にして、各種appを様々なapp-companiesが提供することになる。日本人がi-mode登場の時に経験したのと似たような動きが生じている。
そして、上のDroidの場合は、cloudの時代を反映してか、最初からビジネスユースをかなり意識しているようだ。そして、cloudの時代らしく、最初からインターネット側のアプリケーション資産を活用すべく、最初からウェブとのシームレスな使い勝手を意識している。
そういえば、Kindle利用者がiPhoneを持っている場合、登録すれば、その両者の間で情報を共有しながら利用できる機能がある。つまり、iPhoneをKindleのもう一つのビューアーにすることができる。
このように、PCやSmartphoneやe-readerなどは特定の場面に適したビューアーでしかない、ということが今後は増えていくように思う。
そして、そういう状態であればこそ、app-economyというように、アプリケーションの方にビジネスの関心が集まるようになるし、そうしたアプリケーションを搭載するのに適した端末としてsmartphone(あるいはapp-phone)が開発されていく。
こうして、アプリケーションや端末のように、利用者がインターフェースとして活用する部分にビジネスの中心が移っていく。裏返すと、Verizonのような通信キャリアは後ろに退いていく。
Kindleを使ってみるとわかるのは、これは世界中で3Gが普通になったから出てきた商品ということ。実はKindleもiTuneのように、インターネット経由でPCにダウンロードしてKindleにファイルを移動することができるようなので、iPod的な商品なのだが、それを3Gを使うことで、個人向けにカスタマイズされた商品であることをうまく演出している。
これはiPhoneもそうだが、Wi-Fiが当たり前になったら3Gなど利用しない、という感じが非常にする。問題はその時、たとえば、Kindleの場合であれば、PCとのシームレス性を強める方向に向かうのか、それとも、相変わらず専用ビューアーの装いを擬装するのかが、次の焦点になるように思う。
そういう意味では、今は、通信機能付き端末が本格化する前の、準備期、過渡期なのだろう。つまり、本格的に通信機能が電話機能から解放される直前、ということのように思えてくる。
ちょうど、Electric Vehicleみたいなものか。
Electric Vehicleは何となく「電気自動車」と訳されることが多いが、ハイブリッドカーと異なり、100%電力で動くものは、エンジン=内燃機関を持たないため、本質的に、従来の「自動車」とは異なる発想で、乗り物としてのデザインが可能になるという。だから、Electric Vehicleはもっと直訳風に「電気乗り物」ぐらいにしておく方が、いらぬ先入観に囚われずにすむと思う。
だから、本当は、smartphoneをapp-phoneにするだけでは不十分で、phoneに代わる言葉を見つけることも大事だ。
そういう意味では、AppleのiTouchは、そのPhoneに代わる言葉として“Touch”という、インターフェースによった表現を既に提案している。このあたりに次のIT機器・サービスの焦点となるのかもしれない。
いずれにしても、まだまだこれから、ということなのだが。