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junichi ikeda

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司法省とGoogle Book Search-続報

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July 04, 2009 10:01 jst
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Google Book Searchに対する司法省の動きの続報。

U.S. Inquiry Is Confirmed Into Google Books Deal
【New York Times: July 2, 2009】

Justice Probes Antitrust Issues In Google Deal With Publishers
【Wall Street Journal: July 3, 2009】

状況を整理すると:

●まず最初に訴訟あり。Google vs 出版関係者(出版社、作家)
●裁判所(US District Court)の判決前に和解(settlement)。
●和解内容について裁判所で検討・確認。

和解内容は:

●Googleがスキャンした本(デジタル本としておく)を表示する権利を確保。
●デジタル本へのアクセス権を販売することでGoogleが利益を得るのを認める。
●それらデジタル本(のデータベース)を図書館などの機関に販売を可能とする。
●収益は、Google、作家、出版社、の間で分配。

この和解内容に対して、司法省反トラスト局が起こしたのは:

●和解内容を請求し、反トラスト局で検討の予定。
●場合によると、反トラスト局がGoogleをシャーマン法(←反トラスト法の一つ)を違反した理由で、訴訟を起こす可能性あり。

反トラスト局がこのような動きを起こしたのは:

●上記和解によって、ネット上でのデジタル本の提供に関して、事実上、Googleが独占的地位を確保しかねないため。
●とりわけ、"orphan books"という著作者情報を欠いた本について、Googleの独占的利用が高まる。
●Googleの他にデジタル本の提供をネットで行おうと考えていた人、法人が、懸念を表明。

今後の日程は:

●裁判所は、反トラスト局に対して、9月18日までに和解内容に関するレビューの提出を要請。もしくは、10月に予定されているヒアリングの際に口頭での説明を要請。
●10月に和解内容に関するヒアリングを行う。

*

記事中にもあるとおり、目下のところ、司法省とGoogleの間での反トラスト法訴訟に発展するかどうかについては、識者の間でも意見が分かれている。反トラスト局の動きは、単なる事務手続きに過ぎないという意見が一方であり、本気で訴訟を考えているというのがもう一方にある。

いずれにせよ、秋にならないことには、事態は動き始めない模様。