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ケーブル市場の競争促進

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November 16, 2007 09:59 jst
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Cable Outfit Vow to Fight More Controls

【November 15, 2007: WSJ】

FCCは、ケーブル市場でパッケージではなくチャンネル単位の購入を消費者に可能とさせるべくルール改正に入ろうとしているが、この動きに対して、業界団体が反対しはじめた、ということ。

*****

日本では、たとえばスカパーですでにチャンネル単位の契約料金が設定されているので、アメリカでようやくそういう動きが本格化してきた、ということ。

FCCでは、
①テレビ視聴世帯の7割がケーブルに契約可能になり、
②そのケーブル可能世帯の7割が実際に契約をしている、
という状況が生じた場合は、ケーブルの競争状況について再検討する余地が生じる、と定めている。

今回争点になりそうなのは①の条件ということだ。ちなみに、②については、ケーブル視聴可能世帯のうち7割が契約、というのは関係者だったら否定しないようで、つまり、本当に、ケーブルが全世帯の7割まで到達しているのか?、というのが曖昧なところ。FCCは到達したといい、業界団体は到達していない、ということ。アメリカの世帯統計というのは確かに曖昧なので、これは微妙なラインかもしれない。

ケーブル側の言い分としては、サテライトやらIPTVやらネットやらと競合サービスがいろいろと出てきているところで勘弁してくれ、というのが本音のようだが、とはいえ、ケーブルは家庭向けアクセス網の競争環境を配備するためにいろいろと保護されてきたのも確かなので、そろそろ潮時かもしれない。

むしろ、このタイミングでケビン・マーティンFCC委員長がこの制度改革案を出してきたのが興味深い。既に昨年の中間選挙で、米国議会は上下院とも民主党が多数派になっているので、共和党がメジャーになっているFCCからすると、いろいろと面倒なのだろう。単純に経済政策だけとれば、共和党も民主党も大差ないところなのだが、ことメディア政策になると、共和党のビッグ・ビジネス志向、と、民主党の「表現の自由」志向、とで、方向性の基本が異なる。両者を調停する観点が、「人々のため=消費者利益の増大」というところになるから、競争促進者のマーティンとしては、民主・共和ともに呑める条件として、ポピュリズム的方向を支持する色彩を強くしたのだろう。

次の大統領選で民主党大統領が当選すれば、当然、FCCもメジャーは民主党系に代えられる。その意味で、任期があと1年に限られる可能性は高い、という読みもあるだろう。そもそも、マーティンはブッシュJr.の大統領選スタッフの功績が認められたFCC入りしているわけだし。

ということで、なにがいいたかったかというと、いや、アメリカの政策というのは、本当に選挙結果によってぶれる、ということ。その背後には、政権交代によって、政府の執行部門(日本の霞ヶ関に相当)の意思決定層が軒並み入れ替わる、ということ。もっといえば、政権交代で政権の外に出されたスタッフの雇用というか生活を守るためのセイフガードとして、シンクタンクがあること、ということになる。