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新聞の大変さの徴候

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Wall Street Journal to Offer Page-One Ad

【July 19, 2006: Wall Street Journal】

Wall Street Journal to Run Ads on Front Page

【July 18, 2006: Wall Street Journal】

Wall Street Journalが、一面紙面で広告を解禁する、という話。

*****

それくらい新聞業界は大変なんだ、ということのようです。

確かに、昨年末以来、アメリカの新聞業界は大変なことは大変で、売り上げは下がる、販売数は下がる、ローカル広告やクラシファイドアドはGoogleなどのネットに取られる、と言った形で、弱り目に祟り目。そのあおりで、新聞社間の買収話も出る始末。

コロンビア大学でとったTelecommunications Lawの中で、仮想的な状況として、「オンライン新聞の進展に対するプリント新聞保護法」を導入するための法案が提出される場合法的にどうか、というようなことを議論していたときがあったけど、本当にそんな状況を招きそうな勢いでもある。もっとも、もちろん、新聞は権力からは独立、が建前だから、新聞業界が受け入れないはずだけれども。

ただ、アメリカの新聞と日本の新聞の状況は違うから、So What? というところもある。

数百万から一千万部の新聞が流通していて、アメリカの感覚で言ったら、大衆紙も高級紙もないような状況があり、さらに、クラシファイドアドといっても、日本の場合、とうの昔に、リクルートを中心に、実質的にそういったミニ広告は別市場ができていて、かつ既にネットにあがってしまっている、という状況もある。幸い、新聞業界は、先日、独禁法の特殊指定も保持して、全国定価制も維持したように、制度的な保護も確保している。

そんなこともあって、日本の新聞には影響がない、と表向き、言われると思う。

ただ、アメリカで新聞業界がここのところ問題になっている背景には、New York TimesやDow Jones、Washington Postは、株式を上場しているため、一般企業同様、アカウンタビリティの履行が必要になる。一方、日本の新聞業界は、未上場企業でその財務状況は一般に公開されるわけではない。だから、ある日突然・・・、ということがないとはいえない。

新聞、というかジャーナリズムは公器、というなら、自らの存立基盤を公に晒す、という判断があってもいいのではないか。その意味で、先日まで検討されていた、NHKのガバナンス問題と、実は同根の状況だと思う。