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UPN and the WB Hope One Network Is Stronger Than Two
【January 25, 2006: Wall Street Journal】
At New CBS, Early Signs of the Midas Touch
【January 25, 2006: New York Times】
UPN, WB to Shut Down; New Network Formed
【January 25, 2006: Washington Post】
Creating CW Shrinks Field for Bad TV
【January 25, 2006: Los Angels Times】
アメリカの地上波ネットワークであるUPN(CBS傘下)とWB(Time Warner傘下)が今年9月を目処に合併し、新たにCWというネットワークをつくることになった、という記事。
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統合の理由はコストダウンによる事業の効率化。しかし、それ以上に重要なのは、アメリカの地上波ネットワーク広告市場の飽和感ないし低落感が、オペレーションレベルでもファイナンスレベルでも、関係者の間に定着してきているということ。
統合の話は、昨年のサンクスギビングの頃からあったということだから、CBS側の事情が大きいだろう。12月から、CBSはViacomから分離され再上場された。新生CBSはViacomの抱えていた資産のうち、安定的に収入を得られるが市場の飽和感を持つ企業を中心に編成された。その中心は、テレビ、ラジオの放送事業だ。だから、分離後のCBSの経営層からすれば、資産の効率運用と新たな成長要因の探求が必須になった。
赤字部門であったUPNのてこ入れが前者の観点からなされたわけだ(なお、後者については、CBS visionという研究開発部門を立ち上げている)。これは、WBの親会社であるTime Warnerにも好都合だった。彼等は、最近、アクティブな株主で知られるCarl Icahnから、資産の効率運用のために、資産を分離売却し株主に還元せよ、とプレッシャーをかけられていたから。
もともと、UPNにしてもWBにしても、95年のFin-Syn Rule廃止などの制度改革にあわせて設立された。この制度改革で、簡単に言うと、ハリウッドメジャーが地上波ネットワークを買収することが可能になった(典型が、DisneyによるABCの買収)。そのため、垂直統合をしないと、価格交渉力を失うと懸念したParamountがUPNを、Time WarnerがWBを、それぞれ設立した。
しかし、後発の地上波ネットワークであることに加え、ケーブルやテレビゲーム、インターネットの普及によって、視聴成績はなかなかあがらかなった。デジタルケーブルの登場によって、DVRとEPGがセットになることで、そもそも地上波とケーブルという垣根も無意味化した。そして、2005年に入ってからのi-Podの台頭、GoogleやYahoo!によるビデオ配信のスタートによって、コンテント・ドリブンの視聴形態が決定的になった。
こうした背景が、UPNとWBの合併を促したと言える。
ここでの教訓は、おそらくは、アメリカでは地上波放送事業の飽和感がほぼ確定したということだろう。