ソーシャル・ゲーム会社であるZyngaがIPOの準備を始めた。
Virtual Farms, Rich Harvest
【Wall Street Journal: July 2, 2011】
Facebook上のアプリの一つとしてゲームを始めた会社が上場に到るまでの成長を遂げたというのは、いろいろと示唆に富む。
プラットフォームとゲームハウスという関係でいえば、プレステとファイナルファンタジーのようなもので、つまり、SCEとスクエア・エニックスのような関係であり、裏返すと、それぐらいの経済的リアリティをソーシャルゲームが持ち始めたと解釈できるからだ。
そのように成功する会社が出始めた一方で、MySpaceのようにマードックグループから放出され、新たに所有主を見つける会社も片方である。
News Corp. Sells Myspace for a Song
【Wall Street Journal: June 30, 2011】
MySpaceが鳴り物入りでNews Corp.に買収された時は、FortuneやForbesのようなビジネス誌がこぞってディールに向かうまでのバックストーリーを特集として掲載していた記憶があるので、ビジネスの世界も動きが早いと思う。
こうしたMySpaceの動きがある傍ら、Googleも新ソーシャルネットワークサービスであるGoogle +の開始を公表している。
Another Try by Google to Take On Facebook
【New York Times: June 28, 2011】
もちろん、こちらは、先日Appleが発表したiCloudの影響も受けてのことだろうが、Googleも改めて本格的にソーシャルネットワークに乗り出す。
ここまで見れば、ソーシャルネットワークについては、新旧交代のタイミングにあるように思える。つまり、FacebookとMySpaceとで始まった第一幕から、Facebook、Apple、Googleらの間の乱戦から始まる第二幕が始まるというところだろうか。
ただし、この乱戦は、もはやウェブの中で中核的な動きとなってきたため、第一幕の時のように自由に競争を行える状況ではない。連邦政府の目も厳しくなっている。たとえば、TwitterにもFTCによる反トラストの疑いがかかり始めている。
Antitrust Regulator Makes Twitter Inquiries
【Wall Street Journal: July 1, 2011】
反トラストの観点からは、Googleも検討対象に挙げられており、Google自体が、そのためのロビイストを雇うにまで至っている。
Google Hires 12 Lobbying Firms Amid FTC Probe
【Wall Street Journal: July 1, 2011】
いうまでもなく、Facebookはこの数年の間ずっとPrivacyの確保という公共政策的課題を抱えている。
以上を見ると、ソーシャルネットワークがウェブの中心的話題となる「第二幕」においては、「ソーシャルネットワーク」についての様々な動きの中で、本当のところ、何が検討されているのか、設計されているのか、そのことに関心を持つ必要性が高まったと言えるだろう。単に、ソーシャルゲームは買いだなどというレベルの話ではないわけだ。
ともあれ、この6月末になって、突然、いろいろと動き出したように思える。第二幕の今後の進行が楽しみだ。