filibusterならぬTwitter-busterの試み

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December 12, 2010 14:38 jst
author
junichi ikeda

バーモント州選出のBernie Sanders上院議員が、Twitterのタイムラインを読み上げながら、フィリバスターを試みた。読み上げはおおよそ9時間に渡った。

Twitter Sensation in the Senate, Despite Using Slightly More Than 140 Characters
【New York Times: December 11, 2010】

Sen. Bernie Sanders speaks for 8 hours against tax cuts, while Congressional Black Caucus joins opposition
【Washington Post: December 11, 2010】

Sanders議員が反対したのは、現在ほぼ確定しそうな、ブッシュ時代に導入された減税策の延長について。これに反対するために、議場で9時間にわたり、議事とは異なる発言を壇上で続けた。

フィリバスターというのは、本来は議事妨害工作で、壇上に立ち休みを取らずひたすらスピーチを続ける行為のことをいう。スピーチといっても通常は議事とは関係ないことを話し続ければよく、たとえば、何か百科事典のようなものを持ち込み、休む間もなく読み続けるものでよい。そうすることで、時間を稼ぎ、議事進行を妨害する。

とはいえ、Sanders議員は、いわゆるindependent、つまり、デモクラットにもGOPにも属さない議員のため、彼に賛同して党をあげて議事妨害をするというものではない。だから、正確にいえばフィリバスターではなく、長時間に渡る意見表明、ということになる。

今回、この一件が注目を集めたのは、Sanders議員が読み上げたものが、Twitterだったところ。実際には、彼のスタッフがつぶやき続けたものを議員自身が読み上げたようだ。アメリカの議会の様子は、C-SPANという議会中継の専門チャンネルで流され続けるのが普通なので、この様子は延々放送され続けた。

ここから、ちょっと面白いことが起こりそうに思うのは、今回のやり方を使えば、Twitterのタイムラインの読み上げを通じて、人々のリアルタイムの反応を、それこそ、C-SPANでの中継も含めて広く伝えることができそうなところだ。もちろん、まともにやれば、全てのタイムラインをリアルタイムに読み上げることなど不可能だから、そこでは何らかの選別を経て読み上げることになるのだろう。そうして、特定の議員を媒介にしてその支持者の声が吸い上げられる一方、その公表の様子が広く中継されるわけだ。もちろん、本格的にフィリバスターを行う時の一つの方策になることは間違いない。

なんにせよ、フィリバスターという慣行があればこそ、こうした活用方法が注目を集める。興味深い話だ。