FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグを始めとして、新たに16名の資産家がGiving Pledgeに参加すると発表した。
16 Tycoons Agree to Give Away Fortunes
【Wall Street Journal: December 9, 2010】
今回の参加者はこの他に、スティーブ・ケイス、カール・アイカーン、らを含む。
Giving Pledgeは8月に発表されたプログラムで資産家や富豪が自らの資産の半分を寄付することを宣誓するもの。発表直後はつぎのように伝えられていた。ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェット、マイケル・ブルーンバーグ、などが参加している。
Pledge to Give Away Half Gains Billionaire Adherents
【New York Times: August 4, 2010】
(ここでGiving Pledgeへの参加者がわかる。)
昨年度、アメリカのnon-profit corporationへの寄付金が激減し、活動が滞るところも出てきたこともあり、Giving Pledeのようにプログラムが登場した。個人に十分すぎるほどの資産が集中することが可能なアメリカだからこそのプログラムともいえるが、しかし、以前であればファウンデーションを設置してそこから、という動きだったのが、ファウンデーションもそれなりにある環境では、より直接的な寄附行為の方が重要になるということなのだろう。
自ら宣誓して、率先して資産の再分配を行うのは、人によっては偽善ととる向きもあるかもしれないが、端的にいって寄附行為がアメリカには根づいていて、その継続の重要性を経営者の間で尊ぶ精神があるからだ、という理解から入ってもいいと思う。
確かに、再分配の問題は社会的にはなかなか合意は得られにくい。1月の連邦議会では、共和党が下院の多数派を形成することもあって、ブッシュ前大統領が導入した減税策も、今週に入って、オバマ大統領と共和党との話し合いによって延長の方向に検討が進んでいる。
Obama Defends Tax Deal, but His Party Stays Hostile
【New York Times: December 8, 2010】
もっとも、こうした動きに対して、おかしい、と声を荒げる人もいるのがアメリカの面白いところでもある。たとえば、Giving Pledgeに参加もしているTed Turner(CNNの創業者)は、資産家や高額所得者から税金をもっととればいいと告げていたりする。
Some millionaires say, 'Tax me, please!'
全ての経営者や富豪がこうした動きに賛同を示すとはいわないが、しかし、こうした行為を行う人がアメリカの資産家にはいるということは記憶していいと思う。もちろん、必ずしも善意だけでこうした行為が行われるわけでもないだろう。大なり小なり、計算もあるとは思う。それでも、事実として、寄付の仕組みで社会のある部分が回っているのがアメリカの社会だからだ。