FCCのインターネットへのアプローチ

latest update
June 20, 2010 11:20 jst
author
junichi ikeda

FCCにおけるインターネットの位置づけを変更し、FCCが規制できるようにする。その方向にFCCは舵を切るようだ。

FCC Split as It Launches Internet Regulation Effort
【Wall Street Journal: June 18, 2010】

F.C.C. Moves to Expand Role in Broadband
【New York Times: June 17, 2010】

具体的には "a lightly regulated information service" から "a telecommunications service" へとインターネットの位置づけを変える。そうして、従来の電話網と同様に公益性の高い事業としてFCCの監督下に置くようにしようとする。

もっとも「FCCの意思」といっても、意思決定機関である委員会の投票で3対2で決定したので、FCCの外部での議論はしばらく尽きないと思われる。というのも、3対2という投票結果が、結局のところ、デモクラット対GOP(民主党対共和党)と党派的に分かれたから。ただし、こうした分断はFCCではそれほど珍しいことではない。

党派的に分かれてしまった以上、FCCの外部でも同じく党派的に本件が議論されることは間違いないだろう。既に連邦議会の担当委員会で法改正を含めて検討する動きもあるようだ。

FCCは表向きはindependent commission(独立行政委員会)、すなわち大統領府所属の各省(国務省や財務省など)とは一線を引いた存在で、議会の監督の影響は強い。その一方で、意思決定機関であるcommissionの委員らの任命権は大統領にある。そのバランスを取るためのルールの結果、5人の委員は3対2に分けられる。したがって、FCCは、ホワイトハウス対連邦議会、デモクラット対GOP、という対立軸を抱え込みがちになる。

しかもメディアや表現に関するテーマが多いため、ジャーナリズムやアドボカシーグループからの意見も多くなる。

ということで、本件は長丁場の議論に転じるのではないかと思う。