NPRとジャーナリズムの未来

latest update
June 17, 2010 15:32 jst
author
junichi ikeda

D8 ConferenceでNPRのCEOであるVivian Schiller がインターネット・ラジオについて語りながら同時にジャーナリズムの未来について語っている。

Why Online Won't Kill the Radio Star
【Wall Street Journal: June 7, 2010】

なお、Vivian Schiller については以前に次のエントリーを記している。ご参考まで。

次代のジャーナリズムの星?としてのNPR

NPRという非営利法人の利点を最大限生かして、現在劣勢に立たされている既存のメディアやジャーナリストとの間で連携を組もうとしている。端的に言って、20世紀のジャーナリズムは大衆消費社会の回路と上手く組むことで経済的基盤を気付くことができた。その回路はウェブによって再編されようとしている。その移行期においてはNPRのような存在が一種の駆け込み寺のような機能をしばらくは引き受けるということなのだろう。その過程で、ジャーナリズムを再度作り直すことが行われていくことになる。

ジャーナリズムと言った場合、実は同床異夢ともなるような様々な意味合いがある。日常の報道から調査報道まで、一般的に「社会的出来事」と思われているものの進捗について知らせる。そこでは、大きな意思決定に関わるような「政治関連」の記事、あるいは、人々の日常生活に影響を与える経済現象ならびにそれへの対処法などの「経済関連」の記事がある。これらは「知りたい」というよりは「知らないと意思決定に携われない(携わった気がしない)」というものだ。もちろん、この他には「何となく知りたい」と思うような趣味的なものに関わるものもある。

こうした何となくいままで一緒くたにされてきたものが、一旦ばらばらにされ、それぞれの流通を必要とする人々によってファイナンスされるような方向を目指すことになるのだろう。そして、そのための移行場所としては「人々に広く情報を届ける」ことを社是とするNPRのような存在が機能することになるのだと思う。