Googleが大学の基礎研究に対して570万ドルの研究資金を提供すると発表。
Google Extends Outside Research Financing to New Fields
【New York Times: February 1, 2010】
重点領域は四つ:
● Machine Learning
機械、ボットの学習能力の開発。
● Use of mobile phones as data collection devices for public health and environment monitoring
公衆衛生や環境のモニタリングのための、モバイルを利用したデータ収集方法。
● Energy efficiency in computing
コンピューターにおけるエネルギー利用の向上。
● Privacy
プライバシー、個人情報に関わる研究。
この四領域が、Googleが今後開発に携わる重点領域と考えておいていいだろう。
機械学習能力の向上は、“Don't Be Evil”をGoogleが掲げる以上、常について回るテーマ。人を介さずに予めプログラムされた手順で文字どおり、機械的に行われるからこそEvilを排すことができる。「人間外し」のGoogleには不可欠な要素。
モバイルによるデータ収集の対象は、広い意味で環境保護につながるもの。人間に対してカタストロフが起こらないようにする。
後ろの二つは、基本的にはCloud Computingの実施に必要なもの。
エネルギー効率の向上は、データセンターにおける使用電力を減らすための手法。代替エネルギーに参入するGoogleからすれば、自らのデータセンターのエネルギー効率を上げることが、同時に、代替エネルギーの推進役としてリスペクトされることにもつながる。
プライバシーはいわずもがな。
資金を提供する先は、Googleの二人の創立者の母校であるStanfordやUM(ミシガン大学)を筆頭に、CMU(カーネギーメロン)、プリンストン、等、の研究開発型の大学。
いずれにしても、重点研究領域を中心に据えてGoogleの将来を考えてみるのはいい思考実験になるだろう。
簡単に言えば、Computer Scienceの基礎研究を先導するのがGoogleだということ。
少なくとも、メディアコンテント財の販売/配信プラットフォームを目指すAppleとは大きく異なることがわかる。
想定するゴールはかなり隔たりがあるにも関わらず、直近のサービスは似たような分野で競合する、というのも、なかなか示唆に富むことだと思う。