Shift to Digital TV Sends Late Adapters Scrambling
【Wall Street Journal: June 13, 2009】
Stations Turn Off Analog Signals as Digital TV Deadline Arrives
【New York Times: June 12, 2009】
アナログ波放送は、当初2月に停波が予定されていたが、デジタル受信の準備ができていない世帯が約600万世帯あったため、停波は延期されていた。その後この数字は半分の280万世帯まで減少し、アナログ波停波に踏み切ったという。
デジタル受信が未準備の世帯は、黒人、ヒスパニック、若年層世帯、が中心。いずれもデモクラット支持層の中核であること、また、現在のアメリカ連邦政府がホワイトハウスも議会もデモクラット優位であることを考えると、しかるべきタイミングで(たとえばコンバーターの在庫整理のタイミングとか)、しかるべき理由で(たとえばアメリカ市民の情報へのアクセス権の確保など)、彼らに対する補助を行うことで、形式的に移行政策を完遂させることになると思う。
もっとも、今までも何回か触れてきたが、アメリカの場合、テレビ受信の中心(8割~9割)は、ケーブルと衛星放送を経由した「間接受信」なので、ケーブル会社などがデジタル対応すればそれまでのこと。そういう意味では、当初から、直接受信世帯は一定の傾向を持つ世帯(非都市部居住世帯、低所得世帯、など)と特定されていたので対処方法も具体的だった。
むしろ、アナログ波として利用されていた周波数帯を連邦政府に返還し、それらをモバイル利用することでユビキタスサービスの開発に乗り出すことの方が重要視されたということだろう。
確かにタイミングはよい。消費者市場で、SmartPhone、つまり、i-Phone、G-Phone、BrackBerry、などの売れ行きが好調であったり、ビジネス市場でも、Cloud Computingの要請からnetbookのような、thin client端末が主流商品になりつつある。個人向け端末として両者は同一市場へと再カテゴリーされそうな状勢にある。
(とはいえ、携帯電話から発展した端末は“SmartPhone=「賢い」電話”と呼ばれ、PCから発展した端末は“dump PC =「おバカな」PC”と呼ばれるのは、なんだか不公平かも。どちらも同じ方向に向かうはずなのに)。
これで、ブロードバンドのようなインフラ整備にも、無線利用というオプションが加わってくる。ようやくアナログ波というレガシーシステムから解放されて、改めてCommunications Policyにアメリカは取り組み始めるのだと思う。Communications Policyに関する議論、言説も今後増えてくるのではないかと思う(当然、それには、digital securityやprivacy、などの議論も関わってくる)。
アナログ波停波後のケアもさることながら、広く、ホワイトハウス、連邦議会、FCC、の、Communications Policyに注目していきたい。