Google スタッフがWhite House 入りか?

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June 04, 2009 19:31 jst
author
junichi ikeda

Ex-Google Official’s New Administration Job Rankles Some
【Wall Street Journal: June 3, 2009】

Googleでアメリカ政府への働きかけを行うセクション(Global Public Policy and Governmental Affairs)のトップを務めていたAndrew McLaughlins氏がGoogleを退社し、White HouseのCTO(Chief Technology Officer)の副官(deputy)に就任する予定だ、という観測記事。

White Houseはこの人事についてはまだ公表していないが、この人事について外部のconsumer advocate(消費者保護団体)やGoogleのライバル企業から見直しの声が上がっているようだ。

仮にこの人事が実現した場合どうなるのか。

McLaurlin氏が補佐を務める予定のWhite House CTOの役割については、当のCTOであるAneesh Chopra氏が次の記事で明らかにしている。

The Nation’s C.T.O. Lays Out His Priorities
【New York Times: June 3, 2009】

CTOの役割は大きくは四つ:

1) Innovationを通じた経済成長
2) Innovation Platformを通じた、大統領の優先課題の解決
3) 次世代デジタルインフラの構築
4) OpenでInnovativeな連邦政府の実現

それぞれのテーマで確かにGoogleが行えることは多くて、2)や4)についてはIT系の直接的な技術、もしくは、パッケージとしてのソリューションの提供、ということになるだろうし、1)については、たとえば、クリーンエネルギー関連、3)については、Wireless broadbandの実装、などが挙げられる。

McLaulin氏の人事に反対する声としては、彼がGoogleに対して有利な形で政策を誘導するのではないか、という懸念があるようだ。それは、消費者団体系のadvocacy groupからすれば、消費者よりも企業の利益を優先するのではないか、という懸念だし、ライバル企業からすれば、GoogleとWhite Houseが結託するのではないか、という懸念のようだ。

いずれにしても、地味だが重要な人事として本件は気にしておきたい。

ところで、White Houseには、CTOと似たような役職としてCIO(Chief Information Officer)があるが、こちらは、連邦政府がITを活用して政府機能をいかにして効率的、効果的に運用できるか、という点に主眼がある。CTOは科学技術政策推進、CIOは政府におけるITの効果的運用、という区分け。もちろん、政府が効果的にITを利用するためには、全米でブロードバンドがあるのが望ましいから、様々な分野で、CTOとCIOは協力関係をもちながら政策立案を行うことになる。

ちなみにCIOはVivek Kundra氏。Chopra氏といい、いずれもインド系。また、いずれも前職はVirginia州政府で、Innovation、ITの分野で活躍していた。さて、これは偶然の一致なのだろうか。インドのIT産業は、アメリカの多国籍企業のアウトソーサーとして成長を遂げたことを踏まえると、また違う世界が見えるようにも思える。