Googleがかねてから主張してきた「network neutality」確保の方針から離脱し、YouTubeなど関連するサイトへのアクセスやダウンロードを高速にするよう求める契約をISPにもちかけている、とWSJが報道。
発端となったWSJの記事
Google Wants Its Own Fast Track on the Web
【December 15, 2008: WSJ】
この記事の中では、Googleのことだけでなく、オバマのインターネット政策の変質も示唆され、傍証として、インターネットに関する法律の権威であるローレンス・レッシグの方向転換が言及されている。
ちなみに、この記事を最初に読んだとき、結構マジメに驚いたので、いくつか関連しそうなところをググってみたのだが、どうやらWSJの勇み足である可能性が高くなっているようだ。
グーグルは直後に自社のpubic policyブログですかさず反論。
Net neutrality and the benefits of caching
どうやら、WSJの記者がEdge Cashingの意味をよく理解していなかったため、最初の記事のような報道になってしまったようで、このこと自体は、WSJの記事でも取り上げられている:
What’s Edge Caching?
かように、このネタは「ブログ圏(blogosphere)」をかけぬけてしまったようで、その反応ぶりはWSJのブログがまとめている。
Discussing Net Neutrality
ここでもとりあげられているが、傍証となる発言や態度として言及されたレッシグは、次のように応答:
The made-up dramas of the Wall Street Journal
また、Network Neutralityについては、レッシグ以上に提唱者としてよく名前が挙がるティム・ウーは次のように反応。
Google Wall Street Journal - They haven’t got the goods
ティム・ウーらしいエントリーで、WSJがこのようなストーリー、つまり、善の象徴だったグーグルがダークサイドに引き込まれてしまう、という物語、を語りたくなってしまう「物語の欲望」について軽く言及して、一蹴。
レッシグのブログのコメントの中には、こうした「扇動的な」イエロージャーナリズム的要素に注目して、WSJではなく、Fox Street Journalと呼ぶべきというものもあった。これは、昨年、Wall Street Journalの親会社であるDow JonesがマードックのNews Corpに買収されたことを指している。News CorpのテレビブランドであるFoxはFox News Channelという報道専門チャンネルを立ち上げていて、トークラジオのような扇情的な報道で一定の支持を得ている。そのFoxの報道トーンが、WSJにも波及したことを指摘したいのだろう。実際、WSJの記事にはしばしばFox Newsのビデオクリップが添えられている。
なお、発端となったWSJの記事には、今のところ訂正は入っていない。