Chicago TribuneやLos Angeles Timesを傘下に持つ、トリビューン社が、破産法の適用を求める、チャプター11を申請。
Tribune Co. Files for Chapter 11 Protection
【December 9, 2008: Wall Street Journal】
Tribune Company Seeks Bankruptcy Protection
【December 8, 2008: New York Times】
Debt-Saddled Tribune Co. Files for Bankruptcy Protection
【December 9, 2008: Washington Post】
アメリカでは新聞経営は大変だ、というように日本では捉えられてしまうかもしれないけれど、このトリビューンのケースはそういうのはちょっと言い過ぎなところがある。
直接的な原因は、上の記事でいずれも触れているけれども、バイアウト資金の返済がらみ。昨年、トリビューン社は、シカゴの不動産事業者であるZell氏がバイアウトした。直接的には、そのときの買収資金用の借入金の返済計画が予定通りに進みそうもないため、(借入金の)債権者である銀行との間で返済計画の再交渉やリファイナンスの交渉をしたのだろうけど、それがうまくまとまらず、チャプター11を申請した、ということのようだ。
もちろん、アメリカは1929年の大恐慌以来の不況のただ中にあるので、企業広告費は減少し、購読数も減っているから、収益自体が厳しいのは間違いないことだけど、トリビューンの場合は、それは間接的なものにとどまる、と理解した方がいいのだろう。
とすると、新聞事業がダメになったから破産した、というように、理解するのは、この場合、不適切だということ。
さらにいうと、アメリカの場合、ターンアラウンドを目的にして、つまり、会社を再生させたいがために、自発的にチャプター11を申請することは比較的よくあることなので、あくまでも、理性的に会社経営を考えた上での選択だ、ということ。
(日本のように、資金ショートの結果、突然倒産して、社員に対して涙目になった社長が平謝りする、というイメージとはいささか異なる、ということ。もちろん、そういうケースもアメリカではあるけれど。)
参照した記事の中でも、Chicago TribuneやLos Angeles Times の営業活動に直接支障が出るわけではない、ということは強調されている。(繰り返すが、だからといって、順風満帆の営業状態であるわけではないことも間違いないことだが)。
つまり、会社経営全体の巧拙、その会社で提供されている商品の善し悪し、その商品を提供する事業の成長性の有無、というのは、関係はするけど、各々独立のことなので、それらを短絡的に同一のものとして捉えるのは不適切だ、ということ。
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本筋とは異なるけれど、なぜこのタイミングでチャプター11を申請するのだ、という問いかけに対して、Zill氏は大統領選があったから、ということをいっている。
オバマは、NBCの報道番組である"Meet The Press"の中で、彼の支援者であるキャロライン・ケネディーがヒラリーが国務省長官に就任した暁にはヒラリーの後釜としてニューヨーク州の上院議員になるという噂をどう思うか、という問いに対して、「彼女がニューヨーク州政治に巻き込まれるのは好まない。なぜなら、自分はイリノイ州政治でとても苦労したから」というように答えていた。この「イリノイ州政治」のあれこれの中にZill氏も関わっているのかもしれない。完全にトリビューンの話からはずれているけれど。