パーマネント・キャンペーン=永続的コミュニケーション
クリントン政権以来、大統領(とそのスタッフ)は、選挙後も選挙時と変わらず、有権者とのコミュニケーションを図るようになった。それは「パーマネント・コミュニケーション」と言われている。
大統領選当選が決まった直後から、チーム・オバマは、パーマネント・キャンペーンのためのサイトを開設した。
大統領就任は2009年1月20日。アメリカでは、次期大統領が決まってから主任までの間を「transition=移行期」と名づけて、速やかな政権移行が行われるよう拝領される期間となる。大統領就任式まで70日あまりがあるわけだが、しかし、足下の経済状況は、ますます悪くなるばかりで、大統領就任式まで待ってはくれない。そのため、ホワイトハウスも議会もおさえたデモクラットとしては、連邦議会、特に下院を中心に、移行期間の政策運営をできるだけ1月以降のオバマ政権で行われるものと整合性がとれるものとなるよう、活動を開始している。ペローシ下院議長が中心となるのは、上院議長は副大統領が兼ねるため、ブッシュ政権からオバマ政権への移行で変わらない最も高位の役職が下院議長だからでもある。オバマも昨日、当選後初の記者会見を開き、その場で「一つの時に大統領は一人」であることを強調し、暗にブッシュ政権にプレッシャーをかけ始めている。
そうした移行期間の間も、有権者とのコミュニケーションを良好に行おうとするのが、上で記したサイトだ。アメリカがデモクラシーの国である以上、有権者の声の集積は、ある政治的決断をする上で、最も説得力のある理由となりうる。そのための活動の総称が「パーマネント・キャンペーン」であり、基本は適宜、ホワイトハウスがpoll(=世論調査)を行い、有権者の意向を常にモニターしながら、日々のコミュニケーションのあり方を考えていくというもの。これが、インターネットを利用することで、より洗練された形式で運営されていくことになる。どうやら、チーム・オバマは、選挙キャンペーンのみならず、政権取得後のコミュニケーションも、インターネットを最大限に活用していくようだ。
いささかたとえに問題があるかもしれないが、ネット登場後、グローバリゼーションの常態化以後、戦争とテロ行為の区別が付かなくなり、平時と有時の区別がつかなくなったといわれる。同様に、ネットの登場によって、選挙時と非選挙時の区別もつかなくなり、いわば、毎日が選挙キャンペーンのような状況に突入したようだ。
これは、様々な意味で、示唆的だ。