CNETのポドキャストを聞いていたら、マッケイン陣営がYouTubeにマッケインのCMを勝手に削除するな、という申し入れをした、という話をしていた。
状況はどうやらこういうこと。
マッケインがテレビで流しているCMが、YouTubeに上がっているが、その中でCBSのニュースの映像が採用されていたようで、それをCBSが気づき削除依頼をしたところ、YouTubeはDMCAに則り削除した。しかし、マッケイン陣営によると、この利用はフェア・ユースの範囲内にあるから、削除には該当しない、ということ。
大統領選キャンペーンも残すところ20日程度になったところで、マッケインへの支持率を上げるのに躍起になっている。先日来のNY市場の金融危機、それへの大統領と連邦議会の対応から、GOPのマッケインはここにきて、急激に支持率を下げている。
(ここを補足すると、現行のブッシュ政権はマッケインの所属するGOP=共和党。そして、金融危機救済のための法案審議で、連邦議会下院は、主にGOPの議員が反対票を投じて、成立を拒否した。この金融危機は、各所で報道されているとおり、景気後退→不況、の道を示していて、大統領選は最終コーナーに来て、経済政策が中核的な争点になった。そして、その元凶を造ったのがブッシュ政権=GOPであり、その救済を阻むのも下院GOP議員である、という認識が広まり、マッケインは劣勢に立たされている)。
有権者、とりわけオバマが強い若年層に最後のアピールをするために、ネットの上でも支持者によるCMのポストを認めよう、ということなのだろうけど、どうやらそれがDMCAにひっかかる。
DMCAの標準的な運用では、コピーライト保有者から要請があれば、アップされたビデオを削除するのが常道になっている。ビデオサイトとしては、アップされるビデオのコピーライトについて目をつぶる代わりに、要請があれば(警告を利用者にした上で)ファイルを削除することで、コピーライトの侵害事件には、直接関わらないというスタンスを取っている。コピーライトの侵害の有無については、当事者どうしで解決してください、ということで。
マッケインにとって皮肉なのは、DMCAの成立には上院議員として彼も当然絡んでいたであろうこと。逐一、アップされるビデオの適法性について、ビデオサイトは判断しない、というのは、DMCAの現実的な運用であるだけに、選挙戦の土壇場で、そのことに文句を言ったところで、世の中はそんなに簡単には変わらない。
以前に何回か言及したとおり、今回の大統領選では、予備選の段階から、オバマ陣営のインターネット利用は際だっていて、若年層の有権者の取り込みとその組織化、献金の集金装置、として機能させるなど、前回、ハワード・ディーンが行った「ネット利用のゲリラ的キャンペーン」をさらに洗練させ、多大な成功を納めている。
最終コーナーで、ネット周りでつまらない話題が立つところは、なかなかに皮肉なことなのもしれない、マッケイン陣営にとっては。