アメリカ大統領選の予備選だが、オバマとヒラリーが競っているデモクラットでは、山場は明日3月4日。テキサス、オハイオ、バーモント、ロードアイランド、で予備選が行われるが、このうち、票数の多い、テキサス、オハイオ、の結果如何では、オバマに候補者が一本化されることになる。
2月9日の“Super Tuesday”後の予備選では、オバマが11州を連続で多数票を獲得し、合計で24州で勝利。一方、ヒラリーは、13州の勝利にとどまっている。デモクラットの公認候補になるには、合計で2025のdelegatesの支持を得る必要がある。Delegatesのカウント方法は州ごとに異なっており、いまだに完全な総数は明らかになっていない。そのため、各種報道機関が独自の試算で見込み値を発表していて、たとえば、AP通信の見込みでは、オバマが1378、ヒラリーが1212、となっている。
GOPと異なり、デモクラットの場合、より「民主的」に、delegatesの割り当ては、基本的には獲得票数に比例した形で割り当てられる(proportionate方式)ため、二候補に絞られてしまった現在、引き続き接戦が続くことになる。一方、勝者総取り方式(winner-takes-all方式)をほとんどの州で採用しているGOPは、ほぼマッケインに公認候補が絞られてきている。
したがって、11月の本選のことを考えると、デモクラットもそろそろ(遅くとも3月いっぱい)候補者を一本化し、本選に備える必要があるため、デモクラット内部で、3月4日の結果でヒラリーを何とか辞退させようとする方向に圧力がかかり始めている。
なお、11月の本選では、連邦議会の選挙(下院全て、上院三分の一)も同日にあるため、選挙戦はひとり大統領に限らないことになる。この点で、GOPに遅れを取りたくないデモクラットで、上述のように、候補者一本化を進めようという動きが強まることになる。なぜなら、崖っぷちにあるヒラリー陣営を中心に、ヒラリーとオバマの間での中傷合戦に近いやりとりがこの2週間ほど続いているためで、このつばぜり合いは、短期間ならメディアカバレッジを増やしてプラスになるが、長期では(つまり3月も続くようだと)、明らかにデモクラット内部の分裂につながるような動きになるからだ。
ということで、明日の3月4日の予備選は、今後半年のアメリカの政局を左右する重要なものとなる。
ところで、この間、二回行われた、オバマとヒラリーのテレビディベートを見る限りでは、オバマは政治家、ヒラリーは政策官僚、という感じ。オバマについては、ケネディの再来とか、スピーチのうまさでレーガンの再来とか、なにかとその「カリスマ性」を記すメディアカバレッジが増えている。本選も、オバマとマッケインでの一騎打ちならオバマに軍配が上がる、という予測も出てきている。
いずれにしても、予備選での人気取りから、本選での「政策論争」に、徐々に傾きつつある。