Duo Envisions Merging Best of TV, Web
【January 13, 2007: Wall Street Journal】
SkypeによるP2P利用映像サービスであるVenice Projectを報じるWSJの記事。
休日用の紹介記事といった体裁。
*****
Venice Projectとしては、コンテントを持つ事業者と直接提携し配信事業に専念したいようで、YouTubeのようなビデオシェアリングサイトで見られるユーザーによるアップロードを促すボトムアップ型の映像配信は行わないようだ。コンテント事業者との間で事前にコンテントの利用ライセンスの取得を最優先する。
P2Pという言葉には、NapsterからGroksterに至るまで、利用者が相互に勝手にファイルを交換するイメージがつきまとっているが、そのイメージからの脱却を最優先しているようだ。むしろ、一般にP2P技術の特性として指摘される「分散化によるネットワークへの負荷の低減」という特性を利用した配信方法という点に集中しているようだ。Venice Projectの中核人物たちがGroksterのコアを形成したKaZaAとも深い関わりがあるから、ということから生じる社会的信用への疑念を一掃するための対応なのかもしれない。実際、Venice Projectはストリーミング型でダウンロード型ではないという。
現状では、コンテント事業者としては、National Geographic、Warner Music Group、といったところが参加(予定?)。また、テレビ映像だけでなくCMの参加者として、ドイツテレコムがアメリカで展開する携帯電話サービスであるT-Mobileや、L'Orealの名前が挙がっている。
技術的な面でもビジネスモデルの面でも情報が少ないため、はっきりしたことはいえないが、P2P型としてはBitTorrent等と同様に、注意しておく方がいいと思う。
ただ、コンテント事業者に完全に与するというアプローチが適切なのかどうかは微妙なところだ。これは、Skypeの本拠地が欧州ということもあるのかもしれない。コンテントをどう扱うのが社会的に妥当かという判断は、技術やビジネスモデルから生まれるのではなく、法文化から生まれるものだからだ。