CBS Ties Its Future To Internet Efforts In New Web Deals
【January 10, 2007: Wall Street Journal】
CBSのCEOであるLeslie Moonvesの、CES最後のkeynote speechの内容を紹介した記事。基本はCBSはアメリカのIT系企業との提携に極めて前向きである、というもの。
*****
まずCBSの状況を踏まえないといけない。
○CBS Inc. は、旧バイアコムのうち、成長株=安定株と目される、テレビ、ラジオ部門を中心に構成された企業グループ。そのため、ケーブルやネットなどの新メディア系の企業資産がない。株主対策のためにも、成長分野への投資は不可欠、という判断がある。
○ラジオ部門については現在GoogleとGoogle Audio Adの提携話が進行中のため、Google/YouTubeの否定はできない。
という状況を前提にした上で、彼の講演内容は解釈しないといけない。
要するに、自前の新メディア資産もなければ、技術開発力もないので、ネット系の企業のトップと全面的に組みながら成長領域に取り込んでいく。そうした戦略上の判断がまずある。
その上で、オペレーショナルなレベルでも、ケーブルに加えてネットという映像配信ルートができたことによる視聴分散への対応をせざるを得ないこと、視聴者の関与の高さが広告収入の源泉であること、などの理由から、ネットを活用してテレビ番組を結晶の核にした「場」をつくることが大事だ、という判断がある。
思い切り単純化すると、雑誌のように、自分たちがターゲットとすべきコアの視聴者はどんなタイプか、それと広告主がほしがる視聴者はどんなタイプか、をすりあわせることができる回路を用意しよう、ということ。
これは、アメリカが既に90年代からケーブルの普及による多チャンネル化が現実のものとしてあるから生じる判断。多チャンネル化が一般に定着したとは(人々の間で)思われていない日本では、だから、こうした判断にはならない。視聴分散をできるだけ回避する方向から考えられる段階にまだあるからだ。
こうした違いを加味してアメリカの動きを見ないと、日本での動きの見通しには役立たない。