BBCとインターネット

latest update
May 27, 2006 08:09 jst
author
junichi ikeda

BBC's Internet Ambitions Raise Hackles of Rivals

【May 26, 2006: Wall Street Journal】

BBCのインターネットへの積極進出に対して、公正競争ではない、という非難が生じているという記事。

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特に、現在、BBCのサイトに広告掲載を可能にしようという動きがあるようで、大反対を受けている、とのこと。これは、BBC Worldwideや海外番組販売の結果、海外からのアクセス数が急増していることがきっかけで、検討が開始されているらしい。

BBCは、国内に関しては受信料収入で、海外に関しては民間企業同様ペイベースで、企業活動を行っている。だから、海外からのアクセスに関しては問題ないだろう、ということのようだ。国内で作った番組はイギリス国民にとっては共有財産だが、その活動をサポートするために海外からは外貨を集めよ、というのは、とても大英帝国的な発想だとは思うけれども、なにぶんにも近代に入ってからは革命が生じていない国だから、意外とまじめにそうなのかもしれない。

いずれにせよ、海外からのアクセスだから、海外活動のルールが適用されうる、という視点なのだろう。このあたり、英語圏の国の中での、文化的ヘゲモニー(ちょっと言葉は厳しいが適切な言葉が今思い浮かばない)の維持・拡大を目的に積極化しないといけない、という政治的理屈も立ちそうだ。

日本では、NHK問題がいつの間にか、海外への情報発信、という議題に随分とすり替えられた観があったけど、BBCのこうした動きがあるとわからなくはないだろう。とはいえ、既に海外からのアクセスがあるところで広告解禁するのと、海外発信するために広告解禁をするのとでは、順序が全く逆なのだが。