NYTimesの苦悩?

latest update
January 25, 2006 08:15 jst
author
junichi ikeda

New York Times Net Falls 41%, But Ad Demand Shows Strength
【January 25, 2006: Wall Street Journal】

NYTimesが減収を示した、という記事。

アメリカの新聞企業については、ここのところ、芳しい話がない。紙からネットへの移行が明確になり、未来を先取りする株式市場の評価は厳しい。

アメリカの場合、ジャーナリストにはフリーランスの人が多い。彼等は、実名を明らかにしながら、大手新聞に寄稿し、自らブログも持っていたりする。一方、日本の記者は、匿名寄稿の新聞社社員がほとんど。この辺りの、記事の制作者の経済的立場が、新聞業界の近況の日米の違いを表しているように思える。

もっとも、NYTimesは、日本の新聞社と違って、印刷工場を持たないから、ネットへの移行もすると決めれば早いだろう。実際、彼等は、コンテント性の高い、寄稿エッセイなどを中心に有料化を導入している。

また、日本の新聞と異なり、上場も果たしているため、資金調達方法にも多様なオプションがある(もちろん、株主対策もきちんとなされている)。一方、日本の新聞社は上場をせずに、もっぱら銀行借り入れで輪転機などの設備投資を行っている。こうした経営上のオプションの存在の相違も、今後の米日の方向性の違いに影響を与えそうだ。