Verizon Closes Its MCI Purchase; Capellas Gets $39.2 Million to Exit
【January 7, 2006; Wall Street Journal】
米国電話業界最大手のベライゾンによるMCIの買収が完了。既に、競合のSBCコミュニケーションズによるAT&Tの買収は終了し、合併後の企業はブランド認知の点から、新生AT&Tとしてスタートしている。
ベライゾンとMCIの合併はこれと同じ動き。これで、地域電話会社+国際・長距離電話会社、の合併が二社成立したことになる。
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ベライゾンは、NYを含む東部の都市圏をカバーし、全米では最大の売上規模を誇る電話会社。もともとは、地域電話会社からスタートしたが、現在は携帯電話最大手のベライゾン・ワイヤレスも傘下にもち、最近では、光ファイバ敷設計画も発表し、テレビ事業への進出にも意欲を示している。
MCIは、もともとは全米第二位の長距離電話会社だったが、90年代後半に新興のワールドコムに買収された。ワールドコムは、エンロン同様、会計操作スキャンダルで最終的には破産法申請を行った会社。その後のターンアラウンドで、社名をMCIに戻し、営業を再開したのだが、2004年夏からのアメリカ資本市場の復調を受けて、ベライゾンから買収のオファーがあった。MCIには四大地域電話会社の一角のクエストからもオファーがあったのだが、最終的にはベライゾンが競り勝った。
ITバブル崩壊後の破産法申請に始まるMCIのターンアラウンドの話や、ベライゾンとクエストの間で繰り広げられたMCI買収合戦については、別稿で記したい。これらの動きは、アメリカのメディア・コミュニケーション企業の変貌方法の点で、示唆に富む話だからだ。
この記事のもう一つのポイントは、MCI側のトップだったCapellas氏が合併後経営陣から退くのに、3920万ドル(約40億円)を得ていること。いわゆるゴールデン・パラシュートと理解していいと思うが、この手切れ金の高さがアメリカのM&Aの完遂を促し、企業間の資産転用可能性を高めることで、資本市場の流動性を同時に高めている。このことも、一回、別稿で考えたい。